ICC参加レポート 4/15
石島です。レポートその4です。二日目のお昼以降の状況です。
2005/5/17
<プロミシングチェリストコンサート>
ICCで開催されるコンサートは基本的に全て有料なのだが(全体登録者やこれに準ずる人は個別にチケットを買う必要がないシステム)、お昼の時間帯には「将来を嘱望される」ICC推薦の若手演奏家の無料コンサートが3日間開催された。
この日はその一日目で、イシュトヴァン・ヴァルダイさんという、非常に長身の方(羨ましい限り)で、チェロが子供用に見えた。曲はコダーイの無伴奏、ドヴォルザークの「森の静けさ」、パガニーニの「カプリース」。
パガニーニなど弾ける理由の半分は、あの長い指のおかげか。
<午後のベートーヴェン>
ICCの期間中に、ソナタ5曲が全て演奏されるプログラムであり、昨日はオーオプニングデュオコンサートでシュタルケルさんが2番を弾いたが、残りの4曲は5/17,18と二日間に亘って「午後のベートーヴェン」として演奏される。
この日は林俊昭さんの5番とルイス・クラレットさんの4番であった。
特にルイス・クラレットさんは素晴らしかった。
毎日贅沢なメニューをこれでもかと食べさせられる、という一週間が始まっている。
<マスタークラス>
午後も午前と同じように、マスタークラスが二つの会場で並行して開催される。
私はそのうちの一つを聴講。
まずはラルフ・カーシュバウムさんによるブラームスのソナタ1番。
受講者は日本の音大生(女性)。
この受講者は非常によかった。
カーシュバウムさんも、彼女の音楽性の高さを認めたうえで、技術的なことには触れず、楽譜の見方について「宝探しをしなさい」と指導。例えば今回弾いた1楽章では、ここで用いられている「重要な "音の間隔" はオクターブである」と分析/定義して、例えばここ、そしてここ、またここも、というように指摘した。
なるほど、そういう見方もあるのか。
その他にもボーイングによるアーティキュレーションの違いや8分音符の表現による曲の性格作りなど、いろいろと指摘。「曲の中で、他の部分と違って書かれているところを探すんだ」とのこと。
次は林峰男さんによるバッハ無伴奏6番。
プレリュードのみ。
受講者は日本の音大生(女性)。
指摘事項は以下のようなものであった。
・長い曲でもあるのでテンポは遅すぎないこと。
・和音の性質か、メロディの性質か、その考えてそれぞれのフレーズを弾き分けること。
・大事な音の「聞かせ方」として、強く弾く/長く弾く/ビブラートをかける、などがあるが、本当に大事な音だけにして、適当に「一般的に長く弾かれるからまねをする」ようなことはしないこと。
・流れていく音楽の中で、常に変化をつけることを意識すること。
・チェロはヴァイオリンと違い、必ず弓を弦に置いて(ぶつけるようにで はなく)弾き始めること。
・自分の音楽で、聴いている人を「説得」するだけでなく「納得」してもらうことが大事(独りよがりにならないこと)。
今回はここまで。次は2日目の夕方から夜にかけてです。