ICC参加レポート 7/15
石島です。レポートその7。3日目の午後。まだまだ続く怒涛のICC。
会社で仕事してるのかって? ノーコメントだ。
2005/5/18
<午後のベートーヴェン>
この日はベルンハルド・直樹・ヘーデンボルグさんの3番とヤロスラフ・クールハンさんの1番。
これでベートーヴェンは全曲だ。
ICCも三日目になり、このあたりでちと新鮮さの感覚がなくなってくるという、贅沢過ぎる耳と脳みその状態に陥りつつあるが、こんな一週間は二度とないと思って自らに気合を入れる。
<マスタークラス>
一人目はチョン・ミョンファさんによるストラビンスキーのイタリア組曲。
受講生は日本の音大生(女性)。
以下の指摘が印象的。
・曲をさらう時には、音程の練習や歌い方の練習の前に、基本的な練習として、正確なリズムを身に付けるために「口で歌ってみる」ことが大事。
・そうしないで弾くと、難しいフレーズの所はリズムがいい加減になりやすい。即ち、自分の中に指揮者を作って自分をコントロールできることが重要。
ううむ、我々アマチュアにドンピシャリの指摘ではないか。
次は山崎伸子さんによるドビュッシーのソナタ。
受講生は日本の音大生(女性)。
一部、堤剛さんにクリニックで私が昔指摘されたことと同じことが指摘されていた。
・難しいところになると口に力が入るのがわかるので、それが聴いている人に伝わる。そうならないように注意すること。
・ビブラートを広くかけられるように練習すること。女性は比較的指先が細いので、指の側面まで使ってかけるようにすると効果的。
・全体的に指板のそばを弾きすぎ。もっと駒のそばを弾くこと。その上で、pの表現は、これも指板のそばにするのではなく、弓の量をコントロールして表現する技術を身に付けること。
以前私が堤さんに指摘されたのはこのうちどれでしょう。
なんてクイズはやりませんからね。
<夕方のバッハ>
3番を佐藤光さん、4番を趙静さんが演奏。
佐藤さんは正統派のお手本のようなカッチリした演奏であった。誠実そのもの。
一方、趙さんは「超高速バッハ」で、曲によっては左手の移動も早すぎて見えないくらいでビックリ。
高度な技術に裏づけされた演奏で、若干の音のミスなど気にならず最後まで心地よく疾走。
<グランドコンサートII>
コンチェルト4曲のオンパレード。
林峰男さんのショスタコーヴィチ2番、ラルフ・カーシュバウムさんのドヴォルザーク、ダヴィッド・ゲリンガスさんのシェンデロヴァス "Do" の協奏曲(2002)、マリア・クリーゲルさんのエルガー。
ショスタコーヴィチでまず圧巻、次のドヴォルザークについては、アップから弾き始める人がいるということは聞いていたが、実際に見るのは初めてでビックリ。
そして何よりも、その次の "Do" はICCの一連のプログラムの中で最高峰であろう。
この点については、岩崎洸さんも後に「あれが一番凄かった」とおっしゃっていた。
曲も宇宙的に素晴らしかったし、ゲリンガスさんは正に「超人」。
実にグレイトであった。
最後のエルガーでは、どうしてもデュ・プレのビデオとダブってしまい、涙ものであったが "クリーゲルさんのエルガー" を表現していてこれも感動。
<チェロアンサンブルサロン>
この日は倉田澄子さんが音頭を取って頂けると聞いていたのだが、このサロンは基本的に「適当に楽しもう」らしいので、何をやるか等決まっておらず、この日は倉田さんが私に「適当に宜しく」と言い出す始末。
岩崎洸さんや向山佳絵子さんらも参加して、この日も猫ふんじゃったやバッハの無伴奏バイオリンのガボット(E-dur)の編曲もの(D-dur)など、適当に弾き散らかす。
岩崎さんが「1000人のチェロの楽譜、まだ弾いたことがないんだよねー」などと言い出すものだから、それじゃあやりましょう、と即席の1000チェロミニ合奏。
指揮者がいたほうがいい、ということで何故か私が振ることに。
「岩崎さん、そこはテンポが速すぎますよ」などと大口を叩いたアマチュアは私くらいであろう。